猿丸幻視行


勉強しようとすると関係ない本が読みたくなる病のボクですが、今日読んでしまったのはこれ。


文庫版の乱歩賞受賞作の全集。このシリーズもなんか尻すぼみになったような気がします、がそれはさておき


折口信夫が、平安時代の猿丸太夫柿本人麻呂、そして歌に隠された謎に挑む歴史ミステリ。メインは歌に潜む暗号です。
折口信夫が歌の謎、発生する殺人事件、そして秘められた歴史を推理するところはイイんです。引き込まれてしまいました。
殺人事件は“トリック”ってほどでもないんですが、歴史ミステリとしてはスケールもある程度デカくてよいです。


しかしね、冒頭とラストに“現在”が出てくるんですが、
つまり、現在の“僕”が未知の麻薬物質で意識を過去に飛ばし、折口信夫とシンクロさせて、謎解きを体験するって構成なんです。
これがね、たいした伏線でもない、おまけみたいなんですよ。


ま、ボクのことですから大事なとこ読み飛ばしてる可能性も高いんですが(<ダメじゃん)、
折口目線で書いてるけれど、文学史的に違うんちゃうって、突っ込まれた時のために、取ってつけたような印象なんです。


だってそんな薬、禁じ手ですよ。ラストも取ってつけたようなキレイな絵のエンディング。


折口目線の本章(?本文?)が良かっただけにちょっと…でした。